本部町崎本部(2003.2.13)                                トップへ




   本部町崎本部の位置図

 本部町崎本部は本部半島の西側に位置し、名護市の安和と接している。本部間切は寛文6(1666)年に今帰仁間切を分割し伊野波間切を創設した。1667年に間切名を伊野波間切から本部間切と改称した。本部間切の村の一つである。崎本部は大きく崎本部・塩川・石川の三つの集落からなる。崎本部集落の両側を崎本部川とシンナナ川が流れる。

 崎本部は本部村と崎浜村の合併村とみられる。崎本部集落内に二つの神アサギがある。

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   ▲エージモー(合図森)から水平線を望む       ▲ニーガミヤーの祠

 集落内には神アサギ・アサギンクヮー・ニガミヤー(根神屋)・マスタキ(塩炊)などがある。集落から外れた山手にウガミ(御嶽)やエージモー、シンナナなどの拝所がある。シンナナガーはウガミの西側を流れる川。水量は比較的豊富。ミジグルマガーとも呼んでいた(シンナナガーの一部か)。

 崎本部のムラウチ集落は上組・北組・南組・中組の四つに区分される。塩川・水口・石川の三つの集落はヤードゥイである。公民館は中組に位置し、傍に神アサギがある。神アサギとヌルドゥンチ(中央)・キンシルヤー(向かって右)・トゥンチヤー(左)が統合されている。中組にはニシヌカー(北の井戸)がありキネンガー(記念井戸・昭和三年の御大典か)とも呼ばれている。若水や産水は、ニシヌカーから汲んでいる。

 『琉球国由来記』(1713年)に「崎本部村」とあり、中之嶽・本部巫火神・神アシアゲがあり本部巫の祭祀である。ここでの本部巫は崎本部ノロのこと。本部村そのものが存在しないことと、崎本部神アシアゲなどの祭祀は本部巫が掌っている。本部ノロの管轄する村は崎本部と健堅の二か村である。ハサギンクヮーは貢納物を集積した場所だという。そこで神ハサギが祭祀空間と上納(穀物)を集積する場所だということがわかる。

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    ▲正面手前が神アサギ         ▲ハサギンクワー

 
[参考文献]
『沖縄国頭の村落』 津波高志他著 新星図書出版
『琉球国由来記』(1713年)風土社版
本部町
今帰仁村
名護市
崎本部